ブロンド/ブルネット




 春。
 にしては日差しがもたらす気温は高く、しかしバルコニーから入る風は心地好く。
 それを楽しむため、という訳ではないが、開け放した窓の傍に椅子を置いて。
 陣取り。のんびりと。
 とりあえず、ごろごろしたい気持ちは引っぺがされて顔は洗ってきたが、麻のハオリを羽織っただけのラフな格好をしている所為なのか、どうも眠気を誘われる。
 そうした、文句なしの寝坊した昼よりの朝。
「ほら…頭を動かすな」
 とか。言われながら先輩に、髪を梳かして結んでもらうとか。
(ああ幸せ……)
 くすぐったいけど。
「はいはーい」
 ぼんやりとしたままテキトーに答えると、セクシーというよりプリティなベビードールにシルクガウン姿の、俺の後ろに立って髪を梳かしていた先輩が、ぐいっと強くブラシを引いた。
「“はい”は一回で良い」
 だって。怖いね。細かいね。一瞬、はいはいはいはいって返そうかと思ったが、ここは一つ大人しくしていましょう。
「はい」
 訂正と了解の意味でもう一度答えると、くすりと小さく笑う声が聞こえた。
「素直だな」
 だって。酷いね。俺はいつだって素直でよい子なのに。
「髪の毛が人質に取られているので。危険を察しました」
 そういうこと。理由を述べると、目の前に持ってきた姿見に映っている先輩が、もう少し声を上げて笑った。
「なるほど。確かに毛繕いの時はいつも大人しいな」
「え?そうですか?」
 大人しかったかな、俺。というか、普段そんな暴れてたか?俺。そんなことはないと思うんだが、そんな。
(ていうか毛繕いって…)
 やっぱり犬扱いか、先輩の中の俺。よく、犬っぽいとか、自分の身体の大きさを自覚しろ大型犬!とか言われてるから今更だが。自分でも、動物に例えるなら、猫よりは犬に近いんだろうなぁ、という自覚はあるし。
 しかし、なら先輩だって。
(ん、待てよ?)
 はっ。ということは、つまり犬のように、わふわふ甘えても良いというサインなんじゃないか?
(今気付いた)
 よし。今度試してみよう。
 いやまぁ、そんな企みは良いんだが。一先ずそれは措いといて。
「そういえば先輩って、マガモのヒナみたいですよね」
 イメージの話に戻ろう。思い当たったところを伝えると、鏡の中の先輩が、は?という顔をした。ん?何?
「何だ…いきなり……」
 目を見張り、手も止まって、訝しげにして鏡の中の俺を見る。んん?なんで?
「ああ、いえ。ただ、俺の後ろをちょこちょこついて来たり、なのにいきなり転けたりとか、溝に落ちたりするのとか、なんかマガモのヒナっぽいなと」
 思った次第で。そうそう、以前そういう写真を見たんだ。犬を親だと思ってついていくヒナとか。ちょっとした段差が登れなくてうろうろするヒナとか。見事に排水溝に落ちたヒナとか。そういうのを、毛繕いと言われて急に思い出したからだ。
 な訳だが、思ったそのままを伝えると、更にそのまま、先輩は固まってしまった。
 で、しばしのち。
「〜〜〜〜〜ッそういうことを訊いているんじゃない!」
 先輩の肩がぷるぷると戦慄いて顔が赤くなり、目が鋭くなった。
「私は、何故お前はそう脈絡なく訳の分からないことをぽんぽん言うんだ、と訊いたんだ!大体私はそんなことはしないし、そんな間抜けじゃない!」
 と、さっきよりも強く髪を引っ張る。
 って。
「いでででででッ」



 ―――ところで。
 どうして先輩に髪を梳かして結わえてもらっているかというと、深い意味は、ない。きっかけとしては、叶う時は一緒に寝るように……はいここ重要。なって、俺が起きる前に起きた先輩が俺の髪を編んで遊んでいたことだが、それが過去何回かあって、じゃあ折角だから今朝は椅子に座ってセットしようか、なんて話になっただけだ。何となく、というのが正しいだろう。
 とはいえ、楽しいのだろうか、と思う。俺の髪は弟妹君達ほどふわふわとした撫で心を誘うな髪質ではないし、弟君よりは長いが妹君に比べたらずっと短く、遊べる部分は少ない。
 だが、何故か先輩は俺の髪をいじりたがる。
 曰く、
『ずっと憧れだったんだ、ブロンドって。自然と輝いていて、雰囲気が明るくなって、その……太陽の色みたいだなと…』
 だ、そうだ。それで触りたくなるのだと、照れ臭がりながら、ベッドの中で教えてくれた。
 でも、俺としては、そういうもんなのかなぁ、というところだ。俺の親キョウダイはみんなこんな感じだし、ブロンドと言っても俺の色は大分濃く、例えば、ぱっと思い付きたくないが思い付く辺りだと、第二殿下とか。陽の色と言ったら、あの人のフランクスンのほうが近いと思う。まぁそれは、容赦ない感じが似ているのかも知れないが。
 それに俺は、ブルネットも良いと思う。特に先輩の黒髪はとても綺麗で、長いストレートヘアは開けたてのブラックインクのように変色のない真っ黒で、それでいて艶(つや)やかで、まるで黒曜石みたいだ。まぁこれも、先輩の鋭い雰囲気に影響されているとも言えなくはない印象だが。とにかく。
 そう思うから。別に俺は、先輩はそのままで良いと思う。ブルネットって、理知的に見えて格好良いし。いや、実際、先輩はとても頭が良いんだが。
 且つ、料理が上手くて裁縫が得意で掃除もきっちりで。ちょっと細かくて口煩いなぁと思うこともあるけど、文句言いつつ何でもやってくれるし、美人だし。脚長いし。腰細いし。おっぱい大きいし。そしてふわふわしてて揉み心地が良いし。感度良いし。というか全身感度良いし。
(じゃなくて)
 話ズレた。褒めるとすぐに赤くなって、いぢめると頭から湯気が出て、可愛いし。完璧人間に見えて実はたくさんネジが抜けてておっちょこちょいだし、パニックするといろんなものがダダ漏れになって、見てて面白いし。
(でもなくて)
 うん、違う違う。違うけど、違わなくて、そういう、見た目良し、中身良し、感度良しと三拍子揃った先輩が、髪まで結んでくれるなんて。
(わお)
 愛されちゃってるね、俺。
「良し。出来たぞ」
 先輩が、いつも通り後ろ髪を三本編み終えたところで宣言する。それから、前やら天辺やら後ろやらで跳ねている髪を、ちょんちょんちょんと摘まんで、ぽんと両肩を叩いてきた。
「終了」
「おお…」
 さすが。自分でやるより断然綺麗にすっきり纏まっている。
「……凄い。有難う御座います」
 きょろきょろ頭を振ってて一歩遅れたが、満足げに微笑む先輩にお礼を言いましょう。ついでに、頭だけそっくり返して首を伸ばす。どうしてって、それは、上手に出来たらご褒美が必要だから。目が合ったので見ていると、先輩は一瞬きょとんとしたが、しょうがないなぁという顔をして髪を押さえて身を屈めて、ちょん、と小さく、ちゃんとキスしてくれた。アイコンタクトってやつだね。
「さ、着替えてしまおう」
 やや恥ずかしそうにはにかんで、離れた先輩が次の指示をくれる。
 なので、大事な大事な俺のお姫様だからね。
「Yes, Your Highness. 仰せのままに」
 そっくり返ったままだけど。丁重に返すと、先輩は楽しそうに、ふんわりと柔らかく笑った。
うん。可愛いね。



 ―――ちなみに。
 ここが何処かというと、それは、秘密。何故なら、先輩と俺は今、イースター・ホリデーを利用したお忍び旅行中だからだ。俺がなかなか休みを取れないから、今度こそはと先輩が、大学でのイベント以外、その他あまた来たイベントのお誘いを全て断ってくれて、実現した。
『お前は初めてだったな。ミレイのイースター・エッグ探しは手が込んでいて面白いから参加してみろ』
 と、そこまで配慮してくれた、後。うん、昨日は確かに楽しかった。手の込んだ、と先輩は言ったが、そりゃ仕掛けは先輩が考えているんだから手は込んでいるだろう。危うい感じの場所にもあったが、そこは身体能力の高い俺だから、華麗にクリアで。先輩のイースター・バニーなバニガを見られたし。最高。
(もふもふの尻尾……)
 懐かしいね。
 そこから一路、自家用ジェット機を吹っ飛ばしてここまで来た次第。
 従って、壁に耳あり。誰にも、不可抗力に近いが、先輩の騎士の座を危うくしてくれた彼女にも、秘密だ。ま、その話は、今となっては笑い話だが。
(あの時はヘコんだなぁ…)
 それはもう盛大に。本気で。
 だって、ずっとそれを目指して上って来たというのに。先輩の意地悪。焦らしプレイは遠慮なのです。俺がするのは良いけどね。
 しかし、そうした危機も去り。二人っきりのプライベート旅行に出掛けている今、これから二週間―――緊急招集が掛からない限りは二週間、フルで遊んで楽しんでいちゃいちゃするつもりだ。
 その出だしの朝に、先輩に髪を編んでもらうとか。
(嬉しい)
 気持ち良かったし。変な意味じゃなくてね。今まで誰かに髪をいじられるなんてノー・サンクスだったのにね。わぁどうしちゃったの俺、新鮮だね。
(お、そうだ……)
「先輩せんぱい」
 椅子から立ち上がり、先輩が押さえていた髪を直したのを見て思った。
 出来れば、寝る時も、先輩はそういうプリティ・アンド・スウィートの服よりも、普段のスマート・アンド・ストイックな格好、というか昨日のバニガのようなセクシー・アンド・エロティックな服のほうが似合うと思うんだけどな、ということではなく。
「今度は俺が先輩の髪をセットします」
 ということを。お返し、の意味もあるが、強気の皇女様は何気に頭を撫でられるのが好きだし、俺も先輩の頭や髪を撫でるのは好きだし、何とも一石三鳥じゃないか。申し出ると、でも先輩は、驚き一杯に目を丸くぱちくりとさせた。あれ?
「お前が……やるのか…?」
「もちろん」
 俺以外の俺がここにいるだろうか。変なの。
「遠慮しないで。はい、座って下さい」
 何故か唖然としてしまっている先輩の手を引いて、椅子の前に引っ張り出して座らせる。ぼんやりしてる手からブラシを取って、代わりに持っていた先輩のポーチを返却して、では始めましょう。まずは髪を梳かそうか。
「どいうのにしましょうか?お客様。切るのは出来ませんが、結んだりは出来ますよ」
 と、髪を集めようと、肩を越えて前から髪に触れると、びくっと先輩が跳ねた。
(ん?)
 何?
「……あ、すみません。くすぐったかったですか?」
 かな。もしくは、感じちゃった、とか?いやん。えっちだね、俺。謝りつつ、しかし、
「ぇ、ぁ…いや……くすぐったくは、ないが…」
 と先輩が言ったので、まぁいいやと思って髪を束ねると、先輩の頭が少し俯いた。鏡に映っているのは、若干赤くなって照れている先輩だ。
「その……こういう事は、余りしてもらったことがなくて…」
 なるほど。先輩は甘え下手だからね。女の子同士ってよくこういう事をしているような気がするんだが、先輩はきっとするばかりだったんだろう。
「そう緊張しないで下さい。俺、こういうの得意ですから」
 器用だからね。後ろへ持ってきた髪をブラシで梳かしながら、主張。
 すると先輩も、そうかもな、と呟いて顔を上げた。
「いつもは自分で髪を編んでいるんだからな。お前は器用だし」
「ま、先輩ほどじゃないですけどね。お任せあれ」
 お褒めのお言葉、有難う御座います。加減しつつ梳き、鏡をちらりと見ると、にこりと先輩が笑った。
「任せる」
 だって。一任とは嬉しいね。大人しく、脚の上に手を置いてちょこんと座る先輩の髪を梳かす。
(にしても…)
 本当にさらさらの髪だ。全然引っ掛からない。髪質としては強く堅いが、真っすぐにしなやかで、全くと言って良いほど絡まりがない。するするブラシが滑る。
 さてそれで、どんな髪型にしようか。
「そういえば先輩って、あんまり髪の毛アップしたりしませんよね」
 見たことがない訳ではないが、それはパーティーや何かの場合だけで、日常では見た覚えがない。体育の時にポニーテールにしていたのは見掛けたが……うむ。あれはレアで心がうずうずした。
「嫌いなんですか?」
 ふと思って、一応訊くと、うーんと先輩は困ったような顔をした。
「そういう訳ではないんだが……」
 と、何だろう言い難そうにする。
 どうしたのだろうか。思ったが、口籠ったその意味は、割合すぐに分かった。



 ―――何というか。
 差し当たり目指してみたのは、パーティーでも何でもないが、夜会とかでよく見掛ける、髪を後ろに持ってきて、縦にくるっと纏めて髪飾りで止めるやつだ。どういう風にやれば良いとかは分からないが、でも多分、こんな感じだろうなという勘で、クシを使って纏めて、先輩が持っていた大きなクチバシを上から挿して止める。
 というだけの、簡単な手順のはず。
 ってのを、既に五回。
(駄目だ)
「止まらない……」
 全然。全く。どんなにキツく巻いてクチバシで止めても、手を離した瞬間、ずるっと落ちる。ワックスを使えば良いのかも知れないが、こんな綺麗な髪にそういうのは余り塗りたくないし、塗ると修正利かなくなるし。というか俺が撫で難いし、使いたくないなぁと思って踏ん張っているのだが。
「うーん……」
 何処をどう捩じって纏めてクチバシを挿しても、必ず落ちてしまう。思い通りにならず唸ってしまうと、すまない、と先輩の申し訳なさそうな声がした。
「やはり止まらないだろう?そういう上げ方だと……」
「ええ、痛感しました」
 残念ながら完敗だ。仕方なく、クチバシを外して髪を梳かす。
 はぁ、と先輩が溜息を吐いたのは、その直後だ。
「ま……という訳だから、上げていないんだ」
 そう、少し寂しそうに。
 それは、つまりこういう訳だ。
 先輩の髪はさらさらだ。さらさらで、しなやかで、弾力があって、さらさらで。さらさら過ぎて、物体同士の摩擦という概念はどっかに行き、しなやか過ぎて、バネが元に戻ろうとする弾性力を持って、全然全く一瞬たりとも固定されてくれないのだ。
『ゴムで止めたりすれば止まるんだが……ちょっと上げておこう、という手軽い感じは受け付けてくれなくてな……』
 言い難そうに説明してくれた、先輩の言っていた意味が良く分かった。
 そして言い難そうにしていた理由は、先輩としては鬱陶しいだけのこれが、
『でも、そんなことを言ったら皆怒るし……』
 とのことで、これも一つの「先輩的マイナス要素」でしかなく、つまり、極力、崩れる崩れないに左右されない髪型でいた、という訳だ。
(何というか……)
 加工もなしに天然でこれは誇って良いと思うんだが、ていうか他の部分についても先輩はもっと誇って良いと思うのだが、どうも、可愛くて可愛くて可愛がられ過ぎてむしろいぢめのようになっていた幼少期を過ごしてきた先輩にとって、容姿については少々コンプレックスがあるらしい。あんな風に追い掛け回されていれば、誰だってそうなってしまうのかも知れないが。
(もったいないな……)
 そうした控え目の性格だから、俺ちょっと役得ラッキーな部分も無きにしも非ずなんだが、幾ら褒めても「そんなことはない」の一言で、照れて恥ずかしがってしゅんとして……いやこれはこれで可愛いと思うが、もうちょっとね。こう、自信を持っても良いんじゃないかと俺は思う。
(ブルネットよりブロンド、っていうのもこういう理由からなんだろうなぁ)
 乙女心はなかなか難しいね。
 ともかく。そういう想いもあるこそなれば。
「だから無理に上げようとしなくても良いんだぞ?」
 なんて、先輩が苦笑いを浮かべる理由は―――殊更にない。
(よし)
 この際、出し惜しみはなしだ。こうなりゃ最終奥義、見せちゃえ。
「先輩。大丈夫です。任せて下さいと言った以上、やります。編み込みで行きましょう」
 うん。これしかないと思う。止まらないって言うなら、止めてしまえば良いだけのことだから。
 よって、髪もすっかり元の状態に戻ったので、ブラシを先輩に渡す。
「持ってて下さい」
「え?ぁ…ああ……」
 目指すは、アリスバンドを付けたみたな編み込みからのアップだ。先輩の右側に移動して、指に挟んでいたクシで、まずは必要な分の髪だけ分けようか。耳の上辺りで、前髪プラス多めに余裕を残して、分けて、必要な量を取って……
(……っと)
「すみません、ゴム下さい。いらない分、留めたいんで」
 あ、あったかな。
 と思ったが、いや、ないと困るんだが。分けた部分を持ったまま、先輩の前に手を出すと、先輩は、ああ、と声だけで頷いて、ポーチの中を調べ、俺の髪を縛った時にも使った小さなゴムを出して、渡してくれた。
「はい」
「ども」
 うん、えっとこれだと全部留まらないけどまぁいいか。受け取り、後ろ側の今はいらない部分の引っ掛かりそうなところだけ、ちゃっちゃと結ぶ―――とやっていると、なぁ、と先輩が呼んだ。
「お前、編み込みなんて出来るのか?」
「ええまぁ。編み込みくらいは、」
 なんてことないと思う。自分の髪にやれって言われたら自信ないが、そもそも短くて出来ないが、上から見てやるんだし、先輩の髪は長いから指から抜けるって事もないし、
「特に難しくは」
 ないと思う。編み込む部分とそうでない分を分けながら答えると、
「そ、そうか…」
 と先輩は何故か焦り気味に返して俯いた。ああ、ダメダメ。
「頭、上げて下さい」
 上手く出来ないよ。分けた髪を持ったまま、クシを持っているほうの手で先輩の顎を上げる。
「ぅ……すまん…」
「いえ。あ、ちょっとこっち傾けて」
「へ?ぁ、あぁ……」
「はい、そのまま。しばらく我慢してて下さいね」
 申し訳ないが。そのまま、左に傾けた感じでキープお願いします。ああ、と頷く声を聞き、で、分けた分、ぐっとクシで全部上に持ってくる。
「痛くないですか?」
「あぁ…大丈夫だ」
 さいで。それを、更に三束に分ける。背後に戻り、まずは右側から天辺まで。真ん中に、下から通して編みつつ、サイドの束を潜らせる際に、残しておいた髪と一緒に編み込み、繰り返し、繰り返し……
「頭戻しますね」
「ああ…」
 普通に戻して左側に移動して、天辺から左側へ、編み込みあみこみ……
「痛くないですか?」
「ふぇ!?」
(ん?)
 何か、今変な声が。鏡を見―――
「ぁだ、大丈夫だっ。痛くない…!」
 ―――ようと思ったが、顔を上げる前に答えが返ってきたので、じゃあいいや。
「ああ、はい」
 気にせず続けて、混ぜ込む髪がなくなったら、あとは普通に三つ編みみつあみ……
(よし)
「ゴム、下さい」
 と、貰って、縛れば。
「……完成」
 我ながら上手く出来た。綺麗にアリスバンドになってる。よしよし。
 さてそれで、次はどうするか。髪の量が多いから、ってか、編み初めを隠すための余裕分が落ちない対策のため、もう一本右側に作って、それから纏めたほうが良いかもな。よし、そうしよう。うむ。
(お揃いだ)
 長く一本だが。ペアみたいだね。
 そんなことを考えながら、右側へ移動すると、出来た三つ編みに先輩がそっと触れた。
「本当に出来てる……」
「ええまぁ」
 ってあれ?疑われてたの?
(切ない)
 ね。淋しくなりつつ、気にするほどの事でもないので、気にせず、先程ゴムで縛っていた分を解き、余裕分と三つ編みにする分だけを分けていると、視線を感じた。鏡を見ると、先輩がじっと俺を見ていた。
「どうしたんですか?」
「え!?…ぁ……いや……」
 何だろう。頭を動かさないでと言ったからだと思うが、手を止めて尋ねると、先輩は目だけを伏せた。そわそわして、言い難いことなのだろうか。
「何か変ですか?」
 鏡―――ではなく直接先輩の顔を覗き込むと、びくぅっと先輩が跳ねた。おお……
「ぃ、いや……そうじゃなくて……」
 と、俺の顔を見たり見なかったり。ちらっと見ては、赤くなって、ぎゅうっとポーチを握り締め、
「お」
 お?
「お揃い…みたいだな、と……」
「………………………………………………………………」
 ………………………………………………………………なる。
「それ…だけ……」
 先輩が、真っ赤になって俯く。ああ、こらこら。下向いたら駄目だってば。
(可愛いなぁ)
 もう。
「可愛いなぁ!」
 本当。どうしろって。アイコンタクトする前にハート・トゥ・ハートだ。髪結ぶよりキスを優先してもしょうがない。仕様がない。
「なっ…んん…!」
 思いがけない可愛らしさに、両手で顔を掬ってキスしてしまう。あ、ほら、下向かないでねって言ったし。
「んっ…ん、ふ……んん…ッ」
 少し息苦しげな声が漏れて、じたばた動く気配がするが、まぁそれも良し。しっかり舌を絡めて引っ張る。
 だって。ねぇ。
(可愛い、かわいいッ)
 もんねぇ。
「んんんー!」



 ―――なんてね。
 脱線もしつつ。今果たすべきは髪をセットすることなので、戻る。朝でも蠱惑的な涙目を振り切り、ほぅと吐いた甘い吐息とキスだけで上気した肌も振り切り、額にキスするだけに留めて、編み初めが隠れるように分けた髪を整えつつ、右下にもう一本三つ編み作り終えると、落ち着きを取り戻した先輩が、ぶつぶつと文句を言ってきた。
「朝っぱらから何を考えて……まったく……」
「はいはい」
「“はい”は一回で良い」
 う。
「はい…」
 怖いね。可愛いね。ここも逆らわず、拗ねる先輩に大人しく従いましょう。と今度は、素直だと褒めてくれる言葉はなく、それにしてもとさっくり話題を変えられた。あれ。
「それにしても……本当に器用なものだな」
 ふるふる泣きそうな目が仔アザラシみたいでしたね、と考えていたのがバレたのかと思ったが、どうやら違うらしい。横向きに、左に纏めた髪全部を使った三本目のざっくり三つ編みを作ろうとしている俺を、鏡を通してじぃっと見てくる先輩の視線を感じた。いやん。そんなに見つめないで。
「ええ、ちょっと。実は昔、姪っ子の髪をいじってたことがありまして」
「え?」
 そう、実は。俺が今こうやってさくさく進められているのは、学問なき経験はなんとやらというやつだったりする。自分のことがあるから普通の男に比べたら慣れているほうだとは思うが、さすがに経験がなければ的確にイメージを指に伝えることは出来ない。ので、余り感心されると居た堪られないので、ここでネタばらしと行きましょう。編みながら暴露すると、先輩の戸惑う声がした。
「お前が…やっていたのか?母親じゃなくて?」
「はい。ちょうどその頃から後ろ髪を三つ編みにしてたんですけど、気になったみたいで」
 そうそう。何それ何それ、と興味津々とした目で見られた。彼女にとって男の俺の髪が長いことは不思議な事だったらしく、パパと違うと言われて、それで、いつの間にかやってくれという話になって。
「数日ですけどね。確か……二番目の兄貴が結婚するって言うんで実家に呼び戻された時なんですけど、長兄一家も来てまして。で、成り行き的に」
「ふぅん……」
 そんな感じだ。思い出しつつ、詳細は思い出せず、かなりうろ覚えだが、滅多に帰らない実家に帰っていたのは、えーっと多分そういう理由だったと思う。あの頃は、休暇を取るより、その分一日も早く一階級上に行くことのほうが大事で、休めと上官に怒られたくらいの頃だから。そのお陰で、こんなにも早く先輩と再会を果たせた訳だが、今思い起こせばなんつー怒涛の毎日だったことか。ただ今こうしてのんびり休暇を満喫しているなんて、あの頃のどの俺が想像していただろう。
(いや、してたかも)
 それが原動力だからね。愛の成せる業だ。凄いね、俺。
 ついでにそんなことも何となく思い出しつつ、話しながらざっくり編みを終えて、
「ゴム、下さい」
 手を出して鏡を見ると、ちょっぴりしゅんとした先輩がいた。ん?
(え?)
 あれ?
「はい…」
 渡してくれた、声にもやや覇気がない。んん?
(ぇえ?)
 あれれ?
「……………………………………………………。やきもち?」
 かしら?
 髪を結んでから再び顔を覗き込むと、なっ!と先輩が息を詰めた。
「何言って…!…そんな訳……」
 なんて。はいはい…おっと、“はい”は一回。元気がないですよ。逸らした目が、何よりも物語っている。気まずそうに長い睫を伏せて、きっと、先輩の頭の中は違うことで一杯なんだろう。何を考えているんだろうね。視線を合わせない先輩を覗き込んだまま、笑ってしまうのはごめんなさい。先輩の正面へ移動し、片膝を突いて、両手を取って。
「あのね、先輩。良いこと教えましょう」
 ていうかただの事実ですが。興味を引くと、ちらりと先輩が上目遣いに見てきた。
 それを待ってから、告げましょう。
「ちなみにですが、その姪っ子はですね、今年で八歳です」
 そう。
「で、俺が髪の毛を結んであげてたのは、三歳か四歳の頃です」
 なのですよ。って、先に言っておけば良かったかな?教えると、先輩は、へ?という顔をした。それから、一呼吸。間、置いて。
 のち。
「………〜〜〜〜〜〜〜〜〜ッ!」
 ぐぃぃぃいんと先輩の顔が真っ赤になった。わぁ凄い。先輩の早とちり。
「なっ…あっ……」
 口をぱくぱく、言葉にならないらしい。
(珍しいなぁ…)
 やきもちなんて滅多に焼かないのに。そのくらい、気になってしまったのだろうか。
「だから、全然。これっぽちも。先輩が妬くような事なんて何もないですよ」
 ね。面白過ぎてにやにやしてしまうが。十も下の子なんて論外だ。歳が近くたって、先輩以外は論外だが、今は。あうあうしている先輩にはっきりと伝えると、キッと先輩の目が鋭くなった。
「違うッ、嫉妬なんかするか!ただっ…ちょっと羨ましかっただけだ!」
 と。
 えと。
 何やら、うーんと。勢い余って口走ってるのか?これは。物凄く可愛らしいことを、先輩が大声で言う。真面目に、とても怒った顔で。えっと……
「……はい。羨ましがらせてごめんなさい」
 で良いのだろうか、この場合。答えは。分からないが謝ると、先輩はまた、え?という顔をした。それから、一呼吸。間、置いて。
 のち。
「………―――――――――ッ!」
 ぼかん!といきなり、先輩の頭が吹き飛んだ。おお…
「…っ………ッ…!」
(……ふむ)
 これは完全にショートしてるな。ぶっしゅーっと俯く頭から昇る湯気は、フューズ切れたの印だ。いつも思うが、先輩のフューズは本当に切れ易い。やっぱり頭が良いとそれだけ負荷が掛かるのだろうか。
(そこが可愛いところだと思うんだが)
 なので、面白いので、もうちょっと見てようかなぁとも思ったが、眉根を寄せてしかめっ面を作る先輩の目が、若干泣きそうな色を伴ってくる。それは良くないので。単にパニックを起こしているだけだと思うが。両手のうち、右手だけを引いて。
 これは敬愛の意ではなく。
 忠誠を、手の甲に。
「僭越ながら、この不肖ヴァインベルグ。これから先、生涯に渡り、触れる髪はルルーシュ様のものだけと誓いましょう」
 そして。
「ご要望とあらば、いつでもそのお美しき御髪を整えますゆえ、お申し付けを」
 是非。
 当然。言われなくたって。
 でも、伝えることは大事なことだから。
 証をキスに託して。面を上げると―――先輩はぽかんと目を丸くしていた。あぁるぇえ?
(間違えた?)
 か?ん?
 あれ?いや、ちょっと待て。
「あ、すみません。無理かも」
 誓っておいて、前言撤回なんて許されないが。いや、でも。はたと至って撤回すると、くっと先輩が息を呑んだ。ああいや、それも違くて。
 だって。
「だって、俺、子供生まれたら絶対撫でちゃいますもん」
 あと、ちゅーも。男の子だったらある程度でやめるだろうが、女の子だったら分からない。
そうだそうだ。
「うん。先輩似の女の子だったら、もう間違いなく同じくらい可愛がっちゃいます、俺」
 かなり確信が持てる。それこそ、髪の毛結ったりしちゃうかも。毎朝……は、仕事上、無理かも知れないが、でも、うん。何れにせよ。
「だから、今のちょっと保

 ガチョン―――。

るぶっ――――――…………」
 …………………………………………………………。
 …………………………………………………………痛い。
(なんで?)
 いろいろ想定しているうちに、知らずあらぬほうを向いてしまっていた顔を元に戻した瞬間、何故かポーチが顔に刺さった。容赦なく、真正面から。あの、先輩。それ中身、化粧道具とか硬いもの入ってるって知ってます?
(痛い…)
 避けも受け身も、受け取れもしないまま、顔面からポーチが落ちる。
と、滅茶苦茶泣きそうな顔をした先輩がいた。歯を食いしばって、ふるふる、わなわな。
(え?)
 待って。何で。
 いや待って。もしかして、一生先輩以外触らないって誓えなかったから…!?
「や、違ッ…せんぱ」
 い違うんですそうじゃなくて。
 そう続けたいところなんだが、ふがっとなって喋れない。
 何故なら。
「〜〜〜お前なんか……っ、お前なんか…!」
 むぎゅっ、と、唐突に。先輩が鼻を摘んでくる。涙目で、前触れなく。人の鼻を無遠慮に且つ豪快に捻って摘まんでくる。
 って。
「いていてててッ」



 ―――いやいや、何はともあれ。
 当初の予定通り、先輩の髪の毛のセットに戻る。何だか分からないがむくれてしまった先輩を宥め、というか、訳を訊いても全然答えてくれないので、ひたすら謝り倒し、どうにか怒りの矛先を治めてもらって。ポーチも拾って片付けて。ねぇ、本当。
(乙女心は複雑だ……)
 訳分からん。
 よ。まぁ最後に、ごめんと鼻にちゅーは貰ったから、それで終わりで分からない事は流してしまおう。三秒考えて分からない問題は忘れるに限る。
 それに、早いとこ髪をセットしてしまわないと。中途半端も良いところだ。
「……良し」
 右耳辺りの編み始めを隠す髪で作った三つ編みを折り込んだ、大きなざっくり編みの三つ編みに、右側から頭の天辺に掛けて作ってきたアリスバンドの最後を巻き付けて一本に仕上げ、それを左耳後ろでくるっと巻いてお団子にして、ヘアピンで留める。
 すると、さすがにきっちり引っ張って編んだお陰か、ピン一、二本、では留まらないものの、五本ほどで固定が出来た。念の為、崩れないように耳の後ろ辺りにも、見えないように何本かピンを挿して髪全体を固定すれば。
「……出来た」
 完成だ。
「すごい……」
 鑑の中の先輩が、目を見張って呟く。が、そりゃそうでしょう。
 目指した通りのアップ。うなじも綺麗に。編み込みも完璧。お団子の作り方はちょっと強引な部分もあったが、それはごまかせる程度で。ぴったり、イメージ通り―――と、俺自身、何年振りかなのにかなり上手く言ったと思っているし、何にも代え難く、モデルが素敵だから。
「いかがでしょう、お嬢様。お気に召して頂けましたか?」
 頭を右に左に、顎を引いて頭上。を確認する先輩の後ろでぱっと手を開かせると、あちこち見回していた先輩が、振り返り、余裕の笑みを持って見上げてきた。
「上出来だ」
 だって。あらら。
「手厳しい…」
 妹君の髪を結っている先輩には、これくらいは出来て当たり前というところだろうか。悔しいが、それに敵うはずもないので肩をすくめると、先輩はもう少しだけ振り返って愉しそうに笑った。
「嘘。完璧だ。私もここまでは出来ない」
 だって。それは言い過ぎなのです。嬉しいけど。
 嬉しいから、そのまま屈んでキス。ご褒美が欲しいから。唇を重ねると、先輩から小さく声が漏れた。そのまま―――癖で、触り心地好い細い首筋から頸椎までを撫でてしまう。
(ああ、そうか……)
 どうも撫でやすいなと思ったら、そうか。髪の毛を上げているからなのか。俺良い仕事した。いつもなら絡んでくる、それも良いけど、髪がなくて、すべすべと簡単に先輩の首の辺りが撫でられる。いつまでも、いつまでも、気持ちが良くて、
 つい、ガウンの端から、肩にまで手を進めてしまう。
「…ん……」
 零れる声が嬉しくて。
 こちらの肩に縋ってくれるのが嬉しくて。
 弱々しくて、儚くて。
 腕の中にすっぽりと収まってしまって。
 それが。
 ああ、ようやく。
(私のものなんだなぁ……)
 実感出来る。
 だから。
(―――だから)
「………ぁ……」
 唇を離すと、少し、酔ったような表情をした先輩がいた。潤んだ目で見つめ、朱を引いた頬の向こうに、真っ黒な髪とは対照的な、陽に焼けていない真っ白な首筋が見える。
鮮明に。
 だから。
「………………………………………………………………」
(…………………………………………………………出来ないようぅぅぅ)
 見よ、この完璧なまでの髪型。
 きっちり綺麗に美しく先輩の首筋を剥き出しにした妙技。
(俺の馬鹿ぁぁぁぁ…)
 さっきはグッジョブ俺って思ったが、押し倒すなんて、そんな。これ以上は手出しが出来ない。そんなことをしてしまったら、折角のこの髪型が崩れてしまうじゃないか。
(うう…)
 俺馬鹿。
「ジノ?」
 先輩が、訝しげにして見てくる。それは間違いなく俺が先輩の髪というか首というかを見たまま固まってしまったからなのだが、ううう……撫でたり舐めたりあんなことしたりこんなことしたりしたいと思っているなんて答えられない。朝っぱらから何を不埒なことをと怒られるのが関の山だ。
 よって。
「ああ、いえ。髪飾りでも見に行きましょうか、って思って」
 その辺が無難な答えだと思う。
 し、事実、この髪型に合う飾りを探しても良いかな、とも思っている次第。いつまでも間近で見ていると誘惑が振り切れそういないので、屈めた身を起して、そんなことを考えていたんだよというフリをすると、目に見えてぱぁっと先輩の顔が明るくなった。おう、眩しい。
「うん、行くっ」
 とか。何だか態度まで眩しく見える。うん、それは多分。普段と髪型が違うのと、この国の太陽が眩しいからだということにしておこう。
(このシタゴコロは夜まで取っておこう……)
「じゃ、着替えますか」
 椅子の前に回り、手を差し伸べる。いつだって何処だって、俺のお姫様だからね。微笑みを浮かべて乗せられた手を、優しく引く。
 と、立ち上がったところで、あっと先輩が声を上げた。
「しまった……着替えてからやってもらえば良かった」
にゃに!?
「じゃあ、俺脱がおぶ」
 …………無慈悲に、皆まで言う前に、繋いでないほうの先輩の小さな手が顔面を覆う。底冷えする声で、
「いらん」
 だって。酷いね。冷たいね。気にせずがばっと確保しようかと思ったが、そうすると先輩は恐らく暴れるだろうから、というのは想像以上に想像が付くのでやめた。
「お前の下心なんか見えている」
 とのことですし。
「ええ、ああ、はい。すみません…」
 ここは一つ大人しくしていましょう。見透かすように眼を鋭くさせて笑む先輩に、正解と正解の意味を込めて返すと、顔を覆っていた手が離れた。面白いものでも見付けたように、くすくすと、華奢な肩を揺らして笑う。
(ま)
 休暇の出だしの朝がこれなら、このバカンスは最高のものになるでしょう。
 ね。
「良く似合ってますよ、三つ編み。お揃いだし」
 髪色なんかに関係なくね。クローゼットルームへ向かい、手を引いて。斜め後ろをついてくる先輩に、先輩が編んでくれた俺の三つ編みを指ながら言うと、先輩は少し恥ずかしそうによく見える首を傾げて、嬉しそうに笑った。
「ありがとう」
 いえいえ。
「どういたしまして」





−END−
2011/04/12 オカヤマサル




参考:

▼三つ編みのバリエーションで簡単キュートなアップスタイル
http://allabout.co.jp/gm/gc/19743/

▼カチューシャ風編みこみのやり方
http://yuigami.com/89.html



 ジノルル見たいな見たいなと言ってたら、ジノルルの神・オカヤ様が哀れんでくださって素敵すぎるお話をくださいました。もうどうしてくれようかと。しかもうちの「皇室〜」の設定で!もうどうにでもなれと。明日天に召されても全然心残りないです。オカヤ様、ありがとうございます!!

 お話頂戴した際の注意書きで「(時期的に)くっついてから結婚前の期間なので
スザクはいません」という、そことても大事な点だよね!よって安心して読めます。
 あとジノが「先輩」呼びしてるのはあだ名的な意味合いで受け取っていただけたらとのことです。ちなみに私は勝手にジノに名前で呼んでもらいたいルルが「学校では『殿下』はやめろ!」と言ったら「じゃあ『先輩』」と笑顔で返されて、もういい・・・と脱力してる様を思い描いてました。

 もうね、毎度ながらオカヤさんの書かれるジノがかっこよくてですね、ただいるだけでも鼻血噴きそうなんですけど、なおかつこうしてルルといっちゃいちゃしてくれちゃうと鼻血どころか魂抜けそうになりますからね。今回のジノさんも期待を裏切らず見せ付けてくれてるじゃないですか、天然タラシっぷりを。もう・・・何なのこのかっこよさ!!惚れてまうやろー!(ルルが)

 ていうかルルも可愛いんだ!!可愛すぎるんだ!!!!ジノとみつあみがお揃いっていう所とかちびっ子と知らずに嫉妬して口滑らしちゃう所とか、何この可愛い生き物。ハアハア。
 こういう可愛すぎててぽやぽやしてる人は放っておくとあっというまに悪い獣に目をつけられちゃうので、ジノがきっちり守ってやると良い。

 あと随所にうちの設定を盛り込んでくださった大感謝!です。そうそう、うちのルルは可愛いものに憧れてるんですよー。似合わないと自分でも分かってるからおおっぴらにはしないけど、プライベートだと可愛いものに囲まれて生活してたいんだよ、という。

 いろいろ悶えながら読んでましてですね、当初はせっかくジノが結い上げてくれたルルの髪型を何とか描いてみよう・・・かと思ってたんですが、どうにもうまく表現できなかったので、うーんどうしようかな、だったら二人の赤子ができて子煩悩すぎるパパさんと化したジノと苦笑しながら見守るルルーシュというネタも魅力的だったんですが、本編中でまだちゃんとくっついてないですからね。・・・・そうだよな、くっついてないんだよな。私の頭ん中だともうラブラブなんで忘れてた。
 まあそんなんなんで、とにかくいちゃいちゃしてる二人が描きたい!!という欲求がブワーッと盛り上がったのでそんな感じのいらんラクガキをくっつけてます。もう完全に蛇足です。

 あとこのお話自体は相当前にいただいてまして、載せていいですか?の了解もとっくに頂戴してたんですが、モダモダしてるうちにものすごく時間が経過してました。今頃?とオカヤさんの呆れる顔が見えるようで大変すみません・・・。でも素敵なお話くださって本当にありがとうございます!!

 気を抜くと感想が気持ち悪いぐらい長ったらしくなるのでがんばって簡略化してみました。・・・でもけっこう長いですね。すみません。
 ともかくもジノルル燃料ありがとうございます!!



佐吉



20110831